中小企業のSNSが続かない理由|「どこで止まるか」を特定すれば仕組みに変わる
「うちもインスタやらないと」——そう思って始めたものの、最初の数回投稿してそのまま止まっている。実はこれ、まったく珍しくありません。企業の半数以上がSNSを運用していないという調査もあります。そして続かない原因は、担当者の根性やセンスではなく、発信という作業のどこかの工程で詰まっているだけのことがほとんどです。この記事では、よくある5つの原因を整理したうえで、「自社はどこで止まっているのか」を特定し、少人数でも回る形に組み替える方法をお伝えします。
この記事の目次
続いていない会社のほうが、実は多い
先に、少しだけ気が楽になる話をします。SNSが続かないのは、御社だけの問題ではありません。
東京商工リサーチが2023年8月に行った「企業のSNS運用に関するアンケート」調査(有効回答4,947社)では、全体の54.8%(2,715社)が「SNSを運用していない」と回答しています。しかもこれは中小企業に限った話ではなく、資本金1億円以上の大企業でも53.1%が運用していないという結果でした。人も予算もある会社でさえ、半分はやっていないのです。
さらに、運用している企業のうち約3割(29.3%・599社)が「特に効果は得られなかった」と答えています。つまり「始めた・続けた・それでも効果がなかった」も、決して例外ではありません。
出典:東京商工リサーチ「2023年『企業のSNS運用に関するアンケート』調査」(2023年8月1日〜9日実施、有効回答4,947社)
この数字をどう受け取るかが分かれ道です。「じゃあやらなくていいか」と読むこともできます。ただ、裏を返せば半分の会社がやっていない領域だということでもあります。地域の中小企業に限れば、実際に手を動かしている会社はもっと少ない。ここは、まだ席が空いている場所です。
SNSが続かない5つの原因
まず、よく指摘される原因を整理しておきます。心当たりのあるものがあるはずです。
| 原因 | よくある状態 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 目的が曖昧 | 「流行っているから」「同業もやっているから」で開設した | 何を投稿すれば正解か分からず、判断のたびに止まる |
| ② 相手と媒体がずれている | 届けたい相手がどこにいるか決めずに、とりあえずインスタ | 反応がなく、やる意味を感じられなくなる |
| ③ 体制がない | 総務や事務の方が本業の片手間で担当している | 忙しい月から順に投稿が飛び、そのまま戻らない |
| ④ 属人化している | 詳しい社員ひとりの熱量で回っている | その人が異動・退職した瞬間に完全停止する |
| ⑤ 一貫性がない | 投稿ごとに雰囲気・トーン・見た目がばらばら | 何の会社か伝わらず、フォローする理由が生まれない |
ここまでは、多くの記事で語られている内容です。ただ、これを読んで「なるほど、目的を決めてガイドラインを作ろう」と動ける会社は、正直あまり多くありません。社長も現場も、目の前の仕事で手一杯だからです。
そこで次章では、もう一段だけ具体的な話をします。
「続かない」を工程に分解する——止まる場所はだいたい決まっている
「SNSが続かない」とひとまとめに言いますが、発信は5つの工程に分かれています。止まっているのは全部ではなく、たいていそのうちの1つです。
| 工程 | やること | ここで止まる会社のサイン |
|---|---|---|
| ① 企画 | 何を投稿するか決める | 「ネタがない」が口ぐせになっている |
| ② 撮影 | 写真・動画を撮る | カメラを向けると現場が構えてしまう/撮る時間が取れない |
| ③ 編集 | 見られる形に整える | スマホに素材はあるが、手が付けられていない |
| ④ 投稿 | 文章を添えて出す | 編集済みのものが下書きのまま溜まっている |
| ⑤ 分析 | 反応を見て次に活かす | 数字を一度も見たことがない |
ここで、実務で繰り返し目にする傾向をひとつお伝えします。
止まっているのは、③の編集であることが非常に多いです。
「ネタがない」と言っている会社のスマホを見せてもらうと、たいてい動画も写真も撮ってあります。現場、職人さんの手元、朝礼、納品の様子。素材はあるのです。ただ、それを人に見せられる形にする作業——不要な部分を切る、明るさを整える、文字を入れる、音を調整する——ここで止まる。この工程だけは、慣れていないと1本に何時間もかかるからです。
そして厄介なのは、編集で止まると手前の撮影までやめてしまうことです。「どうせ編集できないから撮っても仕方ない」となる。こうして、企画も撮影も含めて全部が止まります。「SNSが続かない」の正体は、多くの場合これです。
工程別・止まったときの処方箋
- ①企画で止まる:ネタを考えるのをやめて、曜日で固定します。「月曜=現場、木曜=人」のように枠を決めれば、毎回ゼロから考える必要がなくなります。
- ②撮影で止まる:毎日撮ろうとせず、月に1日「撮る日」を決めてまとめ撮りします。1日で1か月分の素材は十分に集まります。
- ③編集で止まる:ここはいちばん外に出しやすい工程です。撮るのは自社、編集は外注、という分け方は現実的で、費用も抑えやすい形です。
- ④投稿で止まる:予約投稿を使い、出す日を自分の意志から切り離します。「気が向いたら出す」は必ず止まります。
- ⑤分析で止まる:見る数字を1つだけに決めます。全部見ようとすると、結局何も見なくなります。
ご自身の会社がどこで止まっているか、思い当たるものはありましたか。原因が特定できれば、打ち手はひとつに絞れます。
人が足りない会社の現実解は「全部やらない」
SNS運用の解説記事はたいてい「専任担当を置きましょう」「社内で体制を組みましょう」と書いてあります。もっともな話ですが、社長と数人、あるいは社長ひとりで回している会社に、専任を置く余裕はありません。
少人数で発信を続けている会社に共通しているのは、頑張り方が上手いことではなく、やらないことを決めていることです。
1. 媒体は1つに絞る
インスタもYouTubeもXも、と広げると、更新の負担が単純に倍々になります。まず1つ。届けたい相手が採用したい人材なら、その年代がよく見ている媒体を1つだけ選びます。
2. 頻度を下げて、質を上げる
毎日投稿は、続かない設計の代表格です。週1回を1年続けるほうが、毎日を3週間で止めるより確実に資産になります。止まったアカウントは、更新がないこと自体が「この会社、大丈夫かな」というメッセージになってしまいます。
3. 外に出す工程を「1つだけ」選ぶ
全部を代行に出すと費用が跳ね上がり、しかも中身が他人事になって薄くなります。逆に全部を自社でやると止まります。いちばん時間を食う工程だけを外に出す——多くの場合それは編集です——のが、費用と継続性のバランスが取りやすい形です。
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採用のために発信するなら、投稿の中身は変わる
最後に、目的の話に戻ります。中小企業が「SNSをやらないと」と考えるきっかけは、実は商品を売りたいからではないことが多くあります。人が採れないからです。求人を出しても応募が来ない、来ても続かない。だから「若い人が見ているところに出ないと」となる。
もしそうであれば、投稿の中身は商品訴求とはまったく別のものになります。
| 集客・販売が目的なら | 採用が目的なら | |
|---|---|---|
| 見せるもの | 商品・サービス・実績・お客様の声 | 働いている人・1日の流れ・職場の空気 |
| 主役 | 商品 | 社員と社長 |
| 見る人の関心 | 買う価値があるか | ここで働いて大丈夫か |
| 効く見せ方 | きれいな完成形 | 飾らない現場の様子 |
採用が目的なら、作り込んだきれいな映像より、ありのままの現場のほうが効きます。良いところだけを見せると、入社後に「聞いていた話と違う」が起きるからです。この考え方はRJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)として整理されています。
採用目的でどう発信を組み立てるかは、YouTube採用チャンネルの始め方で詳しく解説しています。そもそも応募が来ない原因を整理したい方は、応募が来ないときに見直す点もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
SNSは結局、中小企業がやる意味はあるのでしょうか?
毎日投稿しないと意味がないと聞きました。本当ですか?
撮影も編集も社内にできる人がいません。どこから始めればいいですか?
社員が動画に映るのを嫌がります。どうすればいいですか?
止まるのは、たいてい編集です
柏・東葛エリアの会社からご相談をいただくときも、止まっている場所はほぼ共通しています。撮るところまではできているのに、編集で溜まるという形です。
撮影ごと外注すれば止まりませんが、費用と日程調整が毎回発生します。かといって編集まで自社でやると、本業の合間では手が回りません。
そこで、撮り方だけ最初にお伝えして社内で撮っていただき、編集をこちらで巻き取る形をご相談いただけます。素材が日常の中で溜まっていくため、撮影日の調整が要らなくなります。撮り方を対面でお伝えできるのは、近くにいるからです。
柏市の採用の現状と、この地域での動画の作り方は 柏市の中小企業向け 採用動画 にまとめています。